【SAPIX】広野先生の中学校探訪 Vol.2 明法中学・高等学校
ゆとりある環境での手厚い指導
創立以来、生徒と教員の人間的なつながりを重視している明法中学・高等学校。広大なキャンパスに充実した施設を備えており、オーケストラ指導など本物に触れる体験型の学びに力を入れている学校として知られている。現在、共学化が進行中で、高校共学化以降の進学実績の伸びにはめざましいものがある。教育の特色や今後の方向性について、SAPIXの広野雅明教育事業本部長が、川岸良之理事長と藤井泉浩副校長に話を聞いた。
今回のスピーカー
中学校の共学化を機に
カリキュラム見直しへ
高校、中学の順に共学化されました。その効果から伺えますか。
高校を共学化する前の5年間と後の5年間を比べると、進学実績はGMARCHも含め1.5倍から1.8倍に伸びています。もともと男子校時代から理系は強かったのですが、女子生徒が入ってきて、英語の得意な生徒が数多く加わったことが大きいですね。
校内の雰囲気もずいぶん変わったのではないですか。
ええ。女子生徒はとにかく元気で、男子生徒が一喝される場面もよく見かけます(笑)。もともと男子校時代からあった家庭科部でも、女子生徒が食べている横で男子生徒が一生懸命食器や器具を洗う姿が見られるなど、時代の変化を感じます。来年度で中高すべての学年が共学になるため、いよいよ共学校として新しいステージへと向かってまいります。
カリキュラムの面ではいかがでしょうか。
中2から「サイエンスGE」と、「国際教育プログラム」の2つのコースに分かれます。「サイエンスGE」ではロボットやプログラミング教育に力を入れますが、単なる技術ではなく、プログラミング的思考力、論理的思考力を重視しています。「国際教育プログラム」は3年間で英語を話せるようになることを目標に、ニュージーランドへのターム留学(高1)やオールイングリッシュの授業へと接続していきます。総合型選抜が増えている大学入試の状況を踏まえ、カリキュラム検討委員会でシステム全体の見直しを進めています。
中学から入る生徒と高校から入る生徒とでは、進度に差がありますか。
中学から入った生徒は進度が速いため、高校入学の生徒とは分けた形での取り組みを検討しています。将来的には、中学から上がった生徒をそのまま特進として一本化していくのが理想的な形だと考えています。
生成AIへの向き合い方については、どのようにお考えですか。
生成AIの推論が正しいかどうかを判断するには基礎学力が欠かせません。だからこそ本校では「自ら働きかける質の高い行動力と本物に触れる教育」を大切にしています。高大連携や地域連携を通じて生徒が自分のやりたいことを見つけ、その活動実績を総合型選抜につなげていければと考えています。
充実した教育環境の中で
少人数教育を展開
キャンパスを拝見して、ゆとりある環境に感銘を受けました。
生徒がのびのびと過ごせる環境を用意してあげたい、というのが私たちの一貫した思いであり、その点には誇りを持っています。
理科室は一般的な学校の1.5倍ほどの広さがあります。生徒数もそれほど多くないので、施設にも人間関係にも余裕があり、様々な活動に安全に取り組むことができます。
そのゆとりが面倒見の良さにもつながっている気がします。
教員1人あたりの生徒数は約13名であり、生徒は自由に職員室へ出入りできますし、職員室前の廊下のテーブルで随時相談もできます。校長室も基本的に開放しており、校内各所に生徒が気軽に立ち寄れるスペースも設けています。担任には言いにくいことも、第三者になら話せるということがありますから、そうした窓口を用意しておくことは大切なことであり、こうした手厚さが、本校の大きな強みだと考えています。共学化以降は20代教員の約8割が女性ですし、生徒と近い世代の教員が現場を支えてくれています。
安心して過ごせる環境があってこそ、子どもたちは様々なことに挑戦できます。そういう場を用意することが、私たちの役割だと思っています。
音楽教育も特色の一つですね。
中学3年間でオーケストラ演奏ができるようにしています。実験が2人1組の協働作業であるのと同じで、音楽も非認知能力や協働性を育む学びとして位置づけており、私自身も3年間でホルンが吹けるようになりました。
ソニーミュージックの社長が顧問を務めていた際、講堂の音響の良さに感心していました。海外交流の際にも、楽器演奏をきっかけに人脈が広がっていく可能性があると思いますね。
高大連携を強化するとともに
海外に向かうマインドも養成
学校の枠を超えた学びにも力を入れていますね。
今年から高大連携には特に力を入れています。6月の実践女子大学との連携を皮切りに、神奈川歯科大学、東京経済大学など複数の大学と連携を結ぶ予定です。女子に人気の高い看護や薬学、管理栄養などの分野に強みを持つ共立女子大学、大妻女子大学、東京薬科大学などとも話を進めており、実践女子大学との連携はすでに今年の入試から機能しています。
地域と結びついた学びにも積極的に取り組んでいます。
11月には東村山市との包括連携協定を結ぶ予定です。これまで単発的に行ってきたPBL型の学習を整理し、生徒たちが地域開発など市の活性化に関わるテーマに直接取り組めるようにしていきたいと考えています。
東村山市長とは以前からの縁があり、市の方から包括協定のお話をいただきました。本校の施設は20年以上も市の公式行事に使ってもらっており、今後も地域とともに歩んでいくことを大切にしたいと思っています。
グローバル教育については、どのような展望をお持ちなのでしょうか。
多くのネイティブ教員の指導のもとで英語力を鍛えることはもちろん、海外に飛び出していくマインドの育成に力を入れています。将来的には、中学の修学旅行を台湾など海外プログラムに変えていく構想もあります。理系分野に関心のある生徒はTSMCが出資している台湾科学技術大学へ、国際系に関心のある生徒は台湾大学や台湾師範大学へ、といった振り分けも視野に入れています。また、実践女子大学とJAL、そして本校の三者の間で、新たな探究学習の枠組みづくりに向けた検討も始めています。
生徒には、世界の中で自分の将来を考えてもらいたい。そのベースとなる環境をこの学校で用意したいと考えています。中学段階から世界の課題に触れることで、自分がどこに向かって頑張っていくのかという目標がより真剣なものになっていくはずです。
台湾を舞台にした構想は、生徒たちにも大きな刺激になりそうですね。
台湾の半導体企業が日本に工場を建てているという今の状況を実際に肌で感じてほしいですね。かつては逆だったわけですから。こうした現実に触れることは、国際感覚を養う上で大きな意味を持つと考えています。
今回訪問した学校
明法中学・高等学校
〒189-0024
東京都東村山市富士見町
2丁目4-12
https://www.meiho.ed.jp/