【SAPIX】広野先生の中学校探訪 Vol.1 桜丘中学高等学校
ベテランの先生の暗黙知のようなものを“見える化”しているわけですね。生徒が自分で学び方を選べるような仕組みもあると伺っていますが。
はい。各教科の先生方から聞き取った桜丘独自の勉強法を、具体的な参考書の使い方まで含めて「桜丘高等学校式学習法」という冊子に詳細にまとめ、生徒に配布しています。これは若手教員にとって、本校の指導の方向性を学ぶ助けにもなっています。
実体験をベースにした
独自の探究学習と国際教育
探究学習の実践には多大な労力が必要です。すべてを自前で開発されているのは大変なご苦労でしょうね。
探究の授業を専門に担当する教員がいるから可能なのだと思います。海外研修も、私たち教員が実際にカンボジアやマニラへ、計10日間ほど下見に行き、どこまでなら安全にできるかを見極めた上でプログラムを組み立てています。中2の広島研修の下見で偶然知り合った洋菓子店の社長が、ちょうど銀座に出店するというので、生徒たちに店頭で販売体験をさせていただいたこともあります。
高校のコースについても簡単にご紹介いただけますか。
中心となるのはAコースで、文理融合で学びをスタートさせ、高2から進路別に学習を進めていきます。Sコースは最難関を目指すコース、Iコースは英語だけでなく、国際教養色の強い学びを中心にしたコースです。どのコースも探究学習に力を入れており、例えばSコースでは、高1は社会課題について考えるゲームを班ごとに制作し、高2は個人探究の「理系アカデミア」に進みます。これからは職業からの逆算した進路指導が難しくなるため、起業家精神教育に力を入れ、収支報告書を作成したり、融資調達のための想定プレゼンを現役銀行員の方に審査していただいたりもしています。
海外研修は、どのようなコンセプトで行っているのでしょうか。
英語力は校内のネイティブ教員を活用して国内で伸ばし、海外研修では語学研修ではなく、実体験を積むことに重点を置いています。カンボジアではポル・ポト政権に破壊された村の再建支援に生徒が関わり、カンボジアから輸入したハーブティーを日本で販売し、利益を村に還元する取り組みも行っています。生徒に任せると失敗することもありますが、安全な環境で小さな失敗を経験させることも大事な学びだと考えています。
生徒・保護者に寄り添う
きめ細かな指導体制
生徒一人ひとりに寄り添うために、日々の指導で工夫されていることがあれば、具体的に教えてください。
まずは、生徒との豊富な対話です。担任は若手の教員が多く、生徒との距離が近いのが特長です。年に13回も面談する教員もいるなど、生徒が抱えている悩みや不安を素直に話せる関係づくりを大切にしています。面談を通じて対話を重ねることで、生徒のモチベーションが高まったり不安が和らいだりすることが、最終的な学力の伸びにもつながっていると感じています。
学習記録を手書きで記入するノートも、指導に役立てているそうですね。
デジタルだと、意外と達成感を感じにくいのです。ノートの冊数は自信につながりますし、手書きの文字の方が生徒の心の動きを捉えやすいと感じています。学習時間の集計だけならデジタルの方が楽なのですが、あえてアナログでやる理由はそこにあります。
先生が毎日コメントを書くことにも、大きな意味がありそうです。
課題を出しすぎると自滅してしまう生徒もいれば、少し後押ししたほうがいい生徒もいます。ノートへのコメントを通じて、一人ひとりに合わせて声かけを変えていますし、保護者にも確認のサインをいただくことで、家庭とも様子を共有できています。中学ではモノグサやスタディサプリなどのデジタル教材も活用していますが、そこでの分析結果もこうしたアナログのやり取りと組み合わせて生徒に還元するようにしています。
中学から高校への節目でも、家庭との連携を意識した取り組みがあるとか。
生徒が高校でどんなコースで何を学びたいかを保護者の前で発表する「キャリアプランプレゼン」を行っています。将来、社会がどうなりそうか、そのために大学でどんな学びをしたいか、というところまで考えて発表してもらうことで、学校・家庭・生徒の3者の方向性をある程度揃えることを大切にしています。
今回訪問した学校
桜丘中学・高等学校
〒114-8554
東京都北区滝野川
1-51-12
https://sakuragaoka.ac.jp/