「共に生きる教育」を実現する
みんなで考え、みんなで決める 対話が育む主体性と他者への理解
和光中学校・高等学校共学校
「自己肯定感を育むこと」「自己表現と他者を理解すること」「権利の行使の主体を育てること」を教育目標に「共に生きる教育」を実践する和光中学校・高等学校。あらゆる学校行事にそのための仕掛けを用意しており、その一つが「集中HR(ホームルーム)」だ。運営に携わった2年3組の学級委員4名と担任の山崎広平先生に話を聞いた。
クラスで起きている問題を
1日かけて話し合う集中HRとは
「中学では『応答と対話』を教育の軸に、日常的にディスカッションをして『みんなで考え、みんなで決める』ということを1年次から行っています。生徒総会も完全に自由討論。上下関係のない校風なので、全校生徒の前で1年生が3年生のルール違反を指摘することもあります」と話すのは山崎先生だ。
中2の3学期に行われる「集中HR(ホームルーム)」もそんな対話の機会の一つだ。クラスで解決すべき課題を丸1日かけて話し合う。お互いの気持ちを受け止め、新たな視点や合意点を得るプロセスを学ぶことが目的だが、同時に生徒だけで会議を運営するマインドとスキルが育つという。
ユニークなのは、集中HR当日の冒頭、学年で集まり「私の主張」というイベントを行うこと。これは好きなテーマで自分の主張を文章にし、選ばれた代表が発表するというものだが、同日に行うのには理由がある。
「社会問題や自分の身体、家族のことなど内容は様々ですが、自分の考えを堂々と語るクラスメートを見て、集中HRでは自分の言葉で思い切って語っていいんだという雰囲気を作ります」(山崎先生)
そして11時〜17時の集中HRがスタートする。話し合うクラスの課題は事前のアンケートで絞り込んだもので、2年3組の課題は「意見を言える人と言えない人がいる」「意見を言えない原因はクラスの雰囲気=うるさい」などだった。2度にわたるアンケートで、うるさい原因もあらかじめ特定した。
話し合いのゴールは
互いを理解し合うこと
スムーズに進行させるため、学級委員がタイムスケジュールを組み、入念に準備を行ってきたが、現実には予定通りに進まない。しかし、ヒマリさんは「集中HRは必ず問題解決することが目標ではありません。解決に近づくために『相手の話を聞く』という対話を大切にする場なので、話しやすい環境を意識して進行しました」と話す。話し合いのゴールを「問題解決」ではなく、「理解し合うこと」に設定したのもそのためだ。
また、クラスの問題について話し合う時、問題の原因となる人が責められやすい。実際、今回の議題でも「うるさい原因」は一部の生徒にあることが指摘されていたが、個人攻撃にならないよう、互いに配慮できる対話のマナーを決めたほか、細かい工夫を凝らした。「話し合いはキャッチボールが大切なので、風船を用意して、手に持っている人が発言できるというルールを作りました」とミトさん。
それにしても、中学生にとって長時間のHRはつらいのでは?そんな疑問にカイシンさんは「1年生の時からふだんのHRでも大きな行事でも必ず話し合いがあり、少しずつ鍛えられてきたので、耐性ができています」と笑う。
最後にタクトシさんが「学校の決めたルールで縛られるのではなく、どうやってよりよい学校生活にするか、生徒が話し合って決められます。発言が苦手な人でも、ここに来ればきっと発言できるようになります。そういう学校を作って待っています」とメッセージをくれた。
対話によって理解し合うことを当たり前に語り、根気強く実践できる生徒たち。混迷する世界に真に求められる力がそこにあるのではないだろうか。
和光中学校・高等学校