体験から芽生える主体性
テーマを選んで探究するダイバーシティゼミナール
東京成徳大学中学・高等学校共学校
東京成徳大学中学・高等学校は、「未来を見据える」「世界を知る」「自分を拓く」という三つの教育手法を用いて、創造性・主体性・チャレンジ精神を備えた「自律した学習者」の育成をめざしている。生徒が興味のあるテーマを選んで主体的に探究する「ダイバーシティゼミナール」の内容について、教頭の和田一将先生と、講座を担当する高橋喜徳先生に伺った。
体験を通して視野を広げ
考える材料を得る生徒たち
自ら考える力、社会で活躍するための力の養成をめざす東京成徳大学中学・高等学校では、生徒一人ひとりの多様な学び方や進路の選び方に対応した教育を実践している。教頭の和田一将先生は、「生徒たちが主体となり、『おもしろい』と前のめりに取り組める授業づくりを大切にしています。その一つが高1総合探究での『ダイバーシティゼミナール』です」と話す。
「ダイバーシティゼミナール」は、中学での多くの経験を経て、視野を広げた高1生が受講する少人数ゼミ形式の授業。生徒は、数ある講座の中から興味のあるものを一つ選び、1年間かけて探究していく。
このゼミで、「人と自然とのかかわり」というテーマの講座を担当する高橋喜徳先生は、「自然と向き合い、考える講座なので、重視して取り入れているのは現場での体験です」と言う。
毎年1学期は、奥多摩湖の小河内ダムの見学に行く。活動の意義について高橋先生は、こう説明する。「ダム建設は自然破壊ともいわれますが、東京の人口増加に伴い水資源を確保するために必要とされたものです。一方で、水を蓄えるには森林の存在が欠かせず、ダムを機能させるためには自然を守る必要があります。こうした関係性はインターネットで調べてもわかることですが、実際に訪れ、体験を通して、自然と人間社会とがつながっていることを実感してほしいのです」と説明する。答えを出すためというより、考える材料を得ることを目的としている。
ダム見学だけでなく、ダム湖でカヤックを楽しむなど、先生の講座は常に「体験」がセットされている。2学期には、釣り船に乗って東京湾に繰り出す。釣った魚を学校に持ち帰って解剖し、マイクロプラスチックの有無を調べるなどの実験も行っている。
社会との接点から得る学び
研究成果を発信していく
自然のなかでの体験を多く取り入れると、アウトドアでのアクティビティーなど、研究よりも楽しむことがメインになりがちだが、高橋先生は、実社会との接点から得る学びの価値を強調する。「カヤック体験ではインストラクターがいて、釣り船に乗れば船長がいます。学校のなかにいるだけでは出会えない人たちと接し、自然とかかわる多様な仕事の存在を知ることも重要な学びです」と語る。
昨年度からは、千葉県習志野市の谷津干潟での生物観察も実施している。この干潟は、ラムサール条約登録湿地で多くの野鳥が訪れる一方、東京湾のごみが流れ着く場所でもある。生徒たちはごみを回収し、いつごろ捨てられたものなのかを調べるなど、環境問題を自分事として考える活動に取り組んでいる。
最後に和田先生は、「今後は外部コンテストへの挑戦をさらに後押しし、生徒の研究成果を社会へ発信する機会を広げていきたい」と今後の展望を述べた。体験と探究を重ね、生徒が自ら未来を切りひらく力を育てる取り組みが続いている。
東京成徳大学中学・高等学校