1. ホーム
  2. 中学校の魅力を知る
  3. 少子化でも受験率は安定 親の価値観、子どもとの相性で ぶれない学校選びを

少子化でも受験率は安定
親の価値観、子どもとの相性で ぶれない学校選びを

少子化でも受験率は安定<br>親の価値観、子どもとの相性で ぶれない学校選びを

 情報教育、データサイエンス教育に関しては、これから発展していくものと思われます。文部科学省は現在、「DXハイスクール事業」や「リーディングDXスクール事業」を展開しており、主にハード面の整備によってデジタルスキルや情報処理能力を高める施策を進めていますから、いずれはどの学校も対応していくことになるでしょう。

 ただし、記憶の部分はもちろん、文章や画像生成まで含めてAIに取って代わられる時代を生きていくわけですから、人間ができることは何をどう判断するかという意思決定の部分であり、この力をどう伸ばしていくかが学校教育では重要になってきます。かといってどうすればいいかについてはどの学校も手探り状態にあると思われます。

 国際系を標榜する学校は増えていますが、その教育内容は千差万別です。国際系の名に値するかどうかを判断する基準として最も単純な指標は、海外大学への進学実績があるかどうかです。

 英語教育に関しては、具体的な中身までしっかり調べる必要があります。ネイティブ教員が何人いて、週に何時間授業を受けることができるのか、授業以外の時間にネイティブ教員と話す時間が確保されているかなどは重要な判断材料といえるでしょう。このほか、留学制度の中身、国際感覚を高める学校行事の有無、英検の準Ⅰ級や2級取得者の数と学年に占める割合なども参考になると思います。

 グローバル教育の指標としては国際基準でもあるIB(国際バカロレア)や、アメリカの大学の教養レベルの授業を受講できるAP(Advanced Placement)プログラムなどがあります。APプログラムは広尾学園、広尾学園小石川などに導入されており(三田国際科学学園も昨年度から導入)、開智日本橋学園、玉川学園、昌平などがIB認定校となっています。学校に国際性を求めるのであれば、こうしたプログラムについても詳しく知っておくといいでしょう。

 国際系を選択する際の注意点としては、英語力を高め、あるいは国際性を身につけて何をするのかということが重要です。その先にどんな未来を描いているのかによって選ぶ学校や教育プログラムの種類も変わるからです。

ポイント 5
保護者が自らの価値観を
把握していることが重要

 中学受験に挑む子どもの保護者は、比較的高学歴であることが知られています。とくに東京はその傾向が強く、何代にもわたって中学受験をしているという人も少なくありません。こうした私立中高の経験者は、私立学校の持つ校風というものに対する理解が深く、たとえば今年の「サンデーショック」で入試日が変更になった場合も、併願校を単に出口の実績ではなく、教育の方向性などで選択できる可能性が高かったといえるでしょう。

 桜蔭と女子学院の併願が少なかったのも、理数教育と医学部進学に定評がある桜蔭と、進路を限定せずに海外大学も含めて多様な人格教育を強調する女子学院では、校風が大きく異なることがわかっていたからだと思われます。また、女子学院と東洋英和女学院に受験生が集まったのも、キリスト教的な人格教育への期待感が共通していたからでしょう。

 そう考えると、学校選びで重要なのは、まずは保護者自身が何を大切にしているのかを明確にすることだといえます。人格教育を重視するのか、国際性を求めるのか、大学合格実績を重視するのか、医学部志向なのか、理工系のキャリアを見据えるのかなどがはっきりしないままだと、学校選びがぶれて、子どもも迷いやすくなります。

保護者と一緒に相談する女の子のイメージ写真

 とりわけ現代の保護者は母親も含めて職業を持っていることが多く、子どもの職業生活をどう設計していくかという点については、それぞれに感じることがあるはずです。それを前提にした上で、家庭と学校との組み合わせを探っていくといいでしょう。

 保護者の価値観と学校の価値観が合っている場合であっても、その学校の校風が子どもに合わないという場合も起こり得ます。校風が子どもに合うか、合わないかの判断は子どもに委ねた方がいいでしょう。小学5・6年生になれば、その学校の文化祭や学校行事を体験することで、その学校に行きたいか、行きたくないかをはっきりと決めることができるはずです。

 学校の先生や卒業生3〜4人に接することで校風が見えてくることもあります。言葉づかいや話し方、態度、話題、雰囲気など共通するものがあるため、この学校で学ぶと将来はこういう大人になると想像できるからです。

 最近よく耳にする「非認知能力」については、あまり深刻に考える必要はありません。「非認知能力」が高い人が人生で成功するという文脈で語られることが多いわけですが、「非認知能力」とは要するに人格のスキルともいうべきものです。人に寛容であるとか、人の痛みがわかるとか、最後まで頑張ることができるといった資質・能力であり、実は日本の学校は「非認知能力」の指導はとても上手だからです。

 むしろ日本の学校に足りないのは、認知スキルです。知識・理解をその人の能力に合わせて伸ばしていけば、認知スキルはどんどん高まっていくはずですが、日本の学校は横並びの教育ですから、より工夫の余地があります。その部分はむしろ塾が担っているような側面があります。

 これまで見てきたように、2026年度の中学入試にはいろいろな動きがありましたし、来年度以降も世界情勢や社会の変化、教育施策の変更や前倒しといった外的要因によって、入試環境が変わることも考えられます。しかし、どのように変化しても、学校選びの本質が変わることはありません。

 大切なのは「親と学校の価値観の一致」と「子どもと学校の相性」です。家庭と学校が同じ方向を向いていて、接する大人たちの発するメッセージが一貫していれば、子どもは伸び伸びと成長することができますし、そうでないと、一方から否定されたように感じてしまいます。思春期は大勢の大人から温かく見守られながら育つのが一番いいわけですから、この点だけは間違えないようにしたいものです。

このページをシェア