少子化でも受験率は安定
親の価値観、子どもとの相性で ぶれない学校選びを
大学入試改革の影響を受けて、中学入試のあり方も多様になってきています。進学実績だけでなく、これからの社会で求められる能力を伸ばそうとしている学校に人気が集まることもよくあります。森上教育研究所・代表の森上展安先生に、最新の中学受験動向や、受験する学校の選び方などについて伺いました。
森上教育研究所 代表
森上 展安 氏
早稲田大学法学部卒業後、進学塾塾長などを経て、1988年に私立中・高や学習塾を対象とするコンサルタント「森上教育研究所」を設立。現在は同研究所の代表を務める一方、受験や中高一貫教育についての豊富な情報と経験を生かし、評論・分析の分野でも活躍。中学受験の保護者を対象に、著名講師陣による「わが子が伸びる親の『技』研究会」(oya-skill.com)を開催している。
サンデーショックの影響で
東京は定員が約400名減少
首都圏の中学受験は、少子化の影響を受けながらも依然として高い人気を保っています。2026年度は「サンデーショック」による日程変更や、医学部人気の加速、国際系や理工系大学付属校の堅調ぶりなど、いくつかの特徴が見られました。
6年生人口についていえば、東京は昨年より増加しています。特に23区の湾岸エリア、世田谷区、文京区、北区などの地域で受験者が増えています。一方、神奈川では受験者数が3%減と落ち込んでいますが、これは6年生人口の減少と同じ動きであり、人口動態に沿った変化だと思われます。
東京に関しては、「サンデーショック」の影響で2月1日の募集定員が約400名減少しています。そのために1日の受験者数も90名ほど減少しました。定員減少幅の4分の1以下の減少ですから、これは「サンデーショック」特有の現象と見ていいと思います。
女子受験生の動向に関しては、女子学院が2月2日に日程を移動したことで、吉祥女子や鷗友学園女子、雙葉などとの併願が再編され、2日入試は例年以上に大きな動きが見られました。
また青山学院が3日から2日に戻したこともあって、法政大学第二、明治大学付属明治、立教池袋などが男子を中心に受験者を減らしています。
東京の難関校としては、男子校、女子校の御三家がよく取り上げられますが、偏差値順でみると開成の次に渋谷教育学園渋谷が来るほど、共学校の地位が上がっています。また、今年は女子学院や東洋英和女学院が2日に移動しているため、準難関の女子校は非常に質の高い受験生を集めたのではないかと想像されます。特に山脇学園には東洋英和女学院との併願が多かったように思います。ちなみに、桜蔭と女子学院、雙葉と女子学院の併願が可能になりましたが、数としてはそれほど多くはありませんでした。そのあたりは偏差値帯だけでなく、校風や進路指導の方向性が似たところを選んだ結果だと思われます。
東京の入試の話題でもう1つ注目したいのが、明治大学付属世田谷という系列校が誕生したことでしょう。これまで日本学園という男子校が共学化したこともあって、男子はやや敬遠したものの、女子は大幅に受験生を集めました。
埼玉、千葉では難関校が微減
神奈川では共学校が落ち込む
地域別の特徴をもう少し詳しく見てみましょう。埼玉に関しては、初日こそ微増だったものの、2・3日目は微減にとどまりました。初日の好調ぶりは、茨城の江戸川学園取手が1月9日に入試を実施したことが影響している可能性があります。埼玉からも千葉からも受けやすい場所にありますから、首都圏の入試初日と思われていた1月10日の前に初日がきたことで、その勢いで10日の初日に流れ込んだのかもしれません。
埼玉は全体としてみれば好調が続いています。難関校でも1.8倍くらいの競争率がありますし、西部地区や浦和地区、川越地区などそれぞれの地区で中位校がずいぶん受験生を増やしており、底堅い中学受験状況になっているという印象があります。
受験者を多く集めた学校としては、栄東が相変わらずトップですが、開智所沢も前年に引き続き元気があり、追い上げている感じはあります。前年より若干受験生が減ったのは、難化したからではないかと見ています。とはいえ、倍率でいえば開智グループは1.8倍程度が中心ですから、受けやすい入試であることに変わりはありません。
女子校でいえば、これまで浦和明の星女子が圧倒的でしたが、淑徳与野が医進コースを設定した影響で、受験生の数でいえば浦和明の星女子を超えている状況です。なお、男子校に関しては大きな増減は見られませんでした。
千葉については、難関校である市川、渋谷教育学園幕張、東邦大学付属東邦はいずれも受験者数が微減傾向にありましたが、これは前年から続く“難関疲れ”と呼ばれる現象を踏襲しており、埼玉と千葉に関しては、難関校はいずれも減少しているといっていいでしょう。
一方で、昭和学院や麗澤、あるいは2023年度に開校した流通経済大学付属柏などは堅調ですし、専修大学松戸、昭和学院秀英など中堅校から準難関校と呼べる学校の倍率も2倍台後半に達しており、厳しい入試状況であったことは変わっていません。